Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans
と、彼女はからかい半分によくそんなことを云ったものです。からかわれるとは知っていながら、彼女が唇を向けて来るので私もそれを吸うようにすると、アワヤと云う時その唇は逃げてしまって、はッと二三寸離れた所から私の口へ息を吹っかけ、
「これが友達の接吻よ」
と、そう云って彼女はニヤリと笑います。
この「友達の接吻」と云う風変りな挨拶の仕方、―――女の唇を吸う代りに、息を吸うだけで満足しなければならないところの不思議な接吻、―――これはその後習慣のようになってしまって、別れ際などに、
「じゃ左様なら、又来るわよ」
と、彼女が唇をさし向けると、私はその前へ顔を突き出して、あたかも吸入器に向ったようにポカンと口を開きます。その口の中へ彼女がはッと息を吹き込む、私がそれをすうッと深く、眼を潰って、おいしそうに胸の底に嚥み下します。彼女の息は湿り気を帯びて生温かく、人間の肺から出たとは思えない、甘い花のような薫りがします。―――彼女は私を迷わせるように、そっと唇へ香水を塗っていたのだそうですが、そう云う仕掛けがしてあることを無論その頃は知りませんでした。―――私はこう、彼女のような妖婦になると、内臓までも普通の女と違っているのじゃないか知らん、だから彼女の体内を通って、その口腔に含まれた空気は、こんななまめかしい匂がするのじゃない