Classiques japonais avec furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lisez 白い壁 (しろいかべ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 697 caractères · 51 écrans
「錺の職人ですよ。つまり鳶人足なんですが、今ではごたぶんに洩れず半分は失業してると同じことで……」
杉本はそう答えて、次の子供のシャツを脱ぐ手だすけにかかった。
椅子にかえった医師は、尖った顔をぐいと引いてまた次の子供を呼ぶのであった。
「さ、次の番!」
待ってましたとばかりに久慈恵介はすっぽり丸裸になり、元気よく医師の前に立った。
「聹栓塞、アデノイド、帯溝胸――ふん!」医師は眼鏡を光らせて、はじめて感情をふくめたよろこびの声をあげた。
「おお、これはみごとな帯溝胸だ、ごらんなさい、どうです?」
そばにいた看護婦は立ちあがってきたし、校長はたるんだ瞼を引きしめた。
「あたいん家はね、東京市の電気局だよ」と久慈は元気よく金切声をあげた。
医師はその声を無視した。彼の興味は家庭の状況よりも、ほとんど畸型に近い久慈恵介の胸にかかっていたのだ。彼はすかしてみたり、深さを測ってみたりした。そうしてますます感心し「ふうん――」と鼻を鳴らすのであった。
順番を待っていた子供の中から、妬っかんだ声が洩れてきた。
「久慈い――ちんちん、ごうごう、おあとが閊えています。久慈い――おあとが閊えているよ、早くかわんな」