Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しろいあさ

白い朝

豊島 与志雄

Lisez 白い朝 (しろいあさ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 920 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

。

そういう芝田さんの家のことです。駒井さんの室だって、中根のおばさんの室みたいに、いろんな物がごたごた並べたて飾りたててはありません。

それでも、駒井さんの室にはいると、正夫は、柔かな芳香に包まれるような気持がします。正夫は駒井さんが好きなんです。ちっとも瞬きをしないような眼と、弾力性のある口付と、顔を埋めたら息がつまりそうな胸とが、とても好きなんです。

今日は、その眼がおちくぼんでおり、その唇が乾いており、その胸が堅くなっています。

「病気ですか。」と正夫はやっとのことで云いました。

お茶をついでいた駒井さんは、「え?」と声をだして、顔をあげましたが、正夫の云った意味が分ると、「いいえ、」と頭を振りました。そして、ふいに、ちらと光が眼に浮いてきました。涙ぐんだのでしょうか。下を向いてた正夫は、上目で、それを見てしまいました。

――なにか、心配なことがあるのだろう。

そう思うと、もう口が利けないんです。

駒井さんも黙っています。黙ったまま、お茶やお菓子をすすめてくれます。

正夫は次第に、不安とも不満ともつかない気持になって、投げだすように云いました。