Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はくじつむ
白日夢
豊島 与志雄
Lisez 白日夢 (はくじつむ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 672 caractères · 23 écrans
」
「その代り、隣りの方が金持かも知れない。」
「そりゃ当り前ですわ。私達より長く世の中に……働いてきたんですもの。」
一寸文句につまって、それから俄に見付出された、その「働いてきた」という言葉が可笑しくて、私達は笑い出した。
が実は笑いごとではなくて、擽ったいような不思議なような、変梃な気持だった。而も私は、隣家の人達と一度も顔を合したことがなかった。どうかして顔を見てみたい、というより寧ろ、その生活を覗いてみたい、そんな気がしきりにしてきた。と共にまた、向うから自分達の生活を透し見られてはすまいか、何もかもすっかり聞き取られてはすまいか、そんな不安も一方に萌してきた。互に矛盾した気持ではあるが、それが一緒にこんぐらかって、変に私を囚えてしまった。
「あなたはどうしてそう、お隣りのことばかり気にしていらっしゃるの?」と妻は私に尋ねた。
「余り家の形が似てるからさ。」と私は答えた。
然しそればかりではなかったらしい。そして、その自分にも分らない何かが、やがてはっきり形を現わしてきた。
或る土曜日の晩だった。一度家に帰ってきた所を、四五人の友人と町で夕飯を食いに出かけ、飯だけで済すつもりなのがつい酒になり、酔が廻ると長引いて、それからも一軒寄って飲み直し、皆と別れて一人家の方へ帰ってゆく時には、私はもうすっかり酔っ払っ