Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しろが

白蛾

豊島 与志雄

Lisez 白蛾 (しろが) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 700 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

「まったく、藪から棒の話で、私共でも驚きましたよ。もっとも、あのひとは、ここが少し……。」

老人は人差指で額を叩きました。

「少し変でしてね、時々おかしいことがありましたよ。静岡へ行く少し前など、毎日、ひどくおめかしをして出かけましたが、或る晩は、夜更けに戻ってきて、なんだかしくしく泣いてるようでした。それが、ふだんは正気なもんで、はたからは何のことやらけじめがつきませんでね。元からあんなじゃなかったんでしょうが、いろいろ不幸が続いたもんですから……気の毒でしてね。」

老人はいろいろ話したかったようでしたが、岸本は堪えられない思いで、静岡の住居だけを聞いて、辞し去りました。静岡の家は、彼女の伯母に当るとかいう由でした。

岸本はすべてが明るくなった思いをしました。その明るさの中で、ただひしと彼女がいとおしく、同時に自分自身が醜悪に感ぜられました。その醜悪な自分を嘖む気持ちで酒に浸り、酔いがさめてはまた彼女を想いました。一度は静岡への汽車の切符を買いましたが、それを裂き棄てて、代りに手紙を書きました。

その手紙の一節にこういう意味の文句がありました。――私は日夜、あの白い大きな蛾を幻のように心中に描き出しています。