Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くうそうとしてのしんこんりょこう
白鳥随筆 坪内祐三選
正宗 白鳥
Lisez 白鳥随筆 坪内祐三選 (くうそうとしてのしんこんりょこう) de 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 633 caractères · 6 écrans
空想としての新婚旅行
新婚旅行とは噂を聞いても歯が浮くような気がするが、僕でも女房を娶ったら、悦しくて可愛くて、蜜月旅行を企てたくなるかも知れん。どうせ我々貧者の妻君になりたいと云う奴なら、ろくな容貌を備えていよう筈はないが、其処は人情で、自分の妻と思うと、まんざらの顔でもないような気がする。品性に於いては当世稀に見る所だ、などと、腹の中ではほく/\喜んでる。で、旅行となると、原稿料の前借をして、五十円ばかり懐ろに入れて、妻君の赤い顔に白粉をぬらせ、生れて初めての中等列車に乗る。これが艶麗なる芸者でも連れて乗ったのなら、乗客が注目して、僕の艶福を羨むであろうが、縮れっ毛の坊主襟の愚妻を見て涎を垂らす奴もないんだが、其処が人情だ。誰れも眼中に置いていなくても、自分には人が見ているような気がして、極りが悪かったり又一種異様の悦楽を覚ゆる。愚妻に至っては一層甚しい、妙に品をつくって、お姫様然と構えている。時々僕が妻の歓心を買わんが為に、小声で面白い話をすると、妻君は伏目になって、大きな口をすぼめて、買い立ての絹手巾を当てて、ホホホホホと笑う。やがて新婚旅行の本場たる箱根へつく。