Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くうそうとしてのしんこんりょこう
白鳥随筆 坪内祐三選
正宗 白鳥
Lisez 白鳥随筆 坪内祐三選 (くうそうとしてのしんこんりょこう) de 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 633 caractères · 6 écrans
秀麗なる山水も愚妻によって画竜点睛となる、湯本から二つ車を命じて、僕が後から妻君の後ろ姿を拝して坂を上って行く。苦学生時代に来た安値な宿屋へ留る。浴後美人と欄に凭れて纏綿の情を語るとは、僕が屡々小説に書いたことだが、実行はこれが初めてである。旅だから遠慮は入らぬ純然たる夫婦気取り。互いに過去現在将来を語る、殊に友人の悪口を頻りに云う、「あの男は駄目だよ、理想が卑低いから、妻君も下品で話しにならん。」と、友人の浅学無識を罵り、その妻君の容貌の攻撃まですると、僕のワイフは一々これを真理と信じて聞き惚れている。又妻君も自分の友人の悪口を婉曲にいって、僕が「そちの申す通り。」とやる。つまり天下の大才子は「貴郎だわ。」天下の美人は「お前だよ。」と、以心伝心に極ってしまう、そこで僕が前途の抱負を述べると、愚妻は殊勝にも、「私生活の苦労なんか少しも厭わないわ、何々子さんのようにお金持を望んで結婚したって、ハズバンドが無能で、何んにも理想の事業は出来なくっちゃつまらないことよ。」という。僕は悦し涙が出る。北条早雲が箱根山の頂上で関八州を睥睨して、大丈夫何々と叫んだそうだが、僕も塔の沢の六畳で理想がいよ/\固くなった。