Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひゃくしんのふ
百唇の譜
野村 胡堂
Lisez 百唇の譜 (ひゃくしんのふ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 209 caractères · 25 écrans
「え、汚らわしい、寄るな、寄るな」
さすがに悲鳴はあげませんが、襲いかかる手負の千代之助を逃れて、聖らかな仏具を取っては投げ取っては投げ、暫らくは庵室の中に悪闘を続けました。
「ヒ、ヒ、ヒ、ヒ、さア捕えたぞ、もう逃がすことでない、こう両腕の中に抱え込むと、お前ほど美しく、お前ほど可愛らしい女は無かったことも、ようく解る――もう俺は死んでもいい俺は――」
半死半生の尼姿を膝の下に組み敷いて、妖悪な笑いが引き劈くように千代之助の口辺を横ぎります。
丁度その時でした。
ふと門口にさした人影、中の様子を見ると、飛鳥の如く飛び込んで、
「曲者ッ、何をする」
真弓を組敷く千代之助の肩先を掴んで、庭先に叩き附けざま浴せた一刀、
「わっ」
美しい悪魔千代之助は、ものの見事に引っくり返りました。
「良平様」
「真弓殿、無事であったか」
二人は、それっきり言葉もなく、犇とばかりに手を取り合うばかりです。
真弓は髪を蓄えて、間もなく良平と祝言の盃を挙げました。千代之助はそれっきり斬られ損になってしまったことは言うまでもありません。
「百唇の譜」はその後好事家の手に転々して、いろいろの物語を生みましたが、安政年間の根岸に起ったこの物語が一番確かな筋から出たものです。