Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひゃくしょうやのすけのはなし

百姓弥之助の話

中里 介山

Lisez 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 621 caractères · 99 écrans

Aozora Bunko

小説中の小説、囈語中の囈語と云わなければなるまい。「大菩薩峠」は、材を日本の幕末維新の時代に取った一つのロマンスであるとすれば、この「百姓弥之助の話」は、日支事変という歴史的空前の難局の間に粟粒の如く置かれた百姓弥之助の、現実に徹した生活記録とも云えるけれども、要するに小説中の小説であり囈語中の囈語であることは、重ねて多言を要しない。

自ら筆を執って書いた処もあれば、そうで無いところもあるが、要するに文字上の責任は、百姓弥之助の唯一無二の親友たる介山居士が背負って立ち、出版の方も同氏が一肌ぬいで呉れることになり、隣人社の諸君のお骨折によって、今後、一年に数冊――ずつを、新聞雑誌によらず、この形式で処女単行として世に出し得られる仕組みになっている。偏に御賛成を願いたいものである。

神武紀元二千五百九十八年

西暦千九百三十八年

昭和十三年

春のお彼岸の日

百姓弥之助 敬白

第一冊 植民地の巻

一

百姓弥之助は、武蔵野の中に立っている三階艶消ガラスの窓を開いて、ずっと外を見まわした。いつも見飽きている景色だが、きょうはまた馬鹿に美しいと思った。

秩父連山雄脈、武蔵アルプスが西方に高く聳えて、その背後に夕映の空が金色にかがやいている、それから東南へ山も森も関東の平野には今ぞ秋が酣である、弥之助のいる建物は