Classiques japonais avec furigana
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すずりとすみ
硯と墨
中谷 宇吉郎
Lisez 硯と墨 (すずりとすみ) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 996 caractères · 22 écrans
ただしその林檎の直径は約一万分の一ミリであって、他も皆その比例になっている。筆洗の中に新しい水をいっぱい入れ、その表面に一寸筆をつけると、墨がぱっと水面にちる現象は、誰でも日常見ているとおりである。あの薄い墨の膜は、実はこういう構造になっているのである。
紙の上に絵を描くとき、淡墨で描いた上に、しばらく経ってからまた濃い墨を塗ると、二度目の墨はぼける。そのぼけ方は前の墨の乾き工合、紙の性質、墨の濃度などによっていろいろに変化する。そのこつの呑み込み加減によって、ぼかし方の上手下手も出て来るのであろう。紙に描く場合は、紙の繊維の毛細管現象とか、墨の粒子と紙の繊維との付着力とか、いろいろむつかしい問題が起きて来る。それに前に描いた墨汁の乾き加減によって、それ等がまたいろいろに変化するので、実際には一寸簡単には手のつかない問題である。それで時間をおいて二度重ねた墨汁同士間の融合の問題を、それらの複雑な現象から切り離して調べるには、この水面に出来た墨膜を使うのが一番便利である。
まず水面に一様な墨膜を作っておいて、適当な時間を待って、第二の墨滴を、その中心に落してみる。