Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いそべのわかば

磯部の若葉

岡本 綺堂

Lisez 磯部の若葉 (いそべのわかば) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 709 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

かの若い僧が供えたのではあるまいか。私は僧を訪わずに帰ったが、彼の居間らしい所には障子が閉じられて、低い四つ目垣の裾に芍薬が紅く咲いていた。

旅館の門を出て右の小道を這入ると、丸い石を列べた七、八級の石段がある。登降はあまり便利でない。それを登り尽した丘の上に、大きい薬師堂は東に向って立っていて、紅白の長い紐を垂れた鰐口が懸っている。木連格子の前には奉納の絵馬も沢山に懸っている。めの字を書いた額も見える。千社札も貼ってある。右には桜若葉の小高い崖をめぐらしているが、境内はさのみ広くもないので、堂の前の一段低いところにある家々の軒は、すぐ眼の下に連なって見える。私は時々にここへ散歩に行ったが、いつも朝が早いので、参詣らしい人の影を認めたことはなかった。

それでもたった一度若い娘が拝んでいるのを見たことがある。娘は十七、八らしい、髪は油気の薄い銀杏返しに結って、紺飛白の単衣に紅い帯を締めていた。その風体はこの丘の下にある鉱泉会社のサイダー製造に通っている女工らしく思われた。色は少し黒いが容貌は決して醜い方ではなかった。娘は湿れた番傘を小脇に抱えたままで、堂の前に久しく跪いていた。