Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lisez 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 105 803 caractères · 213 écrans

Aozora Bunko

「ははあ隙見をしていたな」

「見守っていたのだ、厳しくな!」

「手を下されたのは桔梗様だ」

「お前がそれを強請んだからさ」

「恋の告白をしただけさ」

「オイ」と吉次は憎々しく、「この昆虫館にいるほどの者で、誰一人として桔梗様を、恋していない者はないのだよ。ただそいつを云い出さないまでさ!」

「そこでこの俺が云い出したのさ」

「そうだ、外来者の外道めが!」

「外道、よかろう、恋の勝利者!」

「俺が許さぬ!」とヌッと吉次は、松葉杖を上げると進み出た。

「俺が許さぬ! な、俺が!」

だがどうやら小一郎には、一向それが風馬牛らしい。「いったいお前は何者かな? 兄か、弟か、桔梗様の?」

「世にも忠実なる女王の僕さ!」これが吉次の返辞であった。

「そうか」と小一郎はゲラゲラ笑い、「引き立ててやろう、この俺がだ! 女王の馬になった時!」

怒るかと思ったら反対であった。片足の吉次は、声を窃め、諂うように頼むように、囁くような声で云ったものである。

「まあさまあさ小一郎殿、角目立つのは止めにしましょう。お互いろくなことはありませんからな。で、今度はご相談、いやいやむしろお願いでござる。と云うのは他でもないが、今も私申しました通り、昆虫館に住むほどの者で、あのお美しい桔梗様を、愛し崇めていない者は、一人もないのでございますよ。