Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans

Aozora Bunko

私本太平記

山門の二皇子

山門の二皇子

ここで日と月は、少し以前へもどるが。

足利家の大蔵邸に預けられていた囚人僧のひとり忠円が、鎌倉表から越後へ流されて行った前後に、その忠円の密使らしい者が、叡山の坂本にある山門の別当へ、

「なにとぞ、これを大塔ノ法親王さまへ、お直々に」

と、一書を投じて去った事実がある。

それが誰だかわからない。

流罪の僧に、そんな書状を差し立てる自由がゆるされるはずもないし、幕府側の足利家が、そのような違反を見のがしたとも考えられない。さらに使いの者が、投げ文でも投げ込むように、ただ「法親王ノ宮へお直々に」とのみいって風の如く立ち去ったのも、いぶかしい限りであった。

が、何はともかく捨ておけない。

さっそく疑問の書状は、坂本から中堂の執行へとどけられ、執行自身が大塔へ伺って、法親王のお手許へささげた。

「なに、忠円から?」

一ときは、やや御気色をうごかしたが、さして怪しむ容子でもなく、

「そうか」

といって、収められた。

人まえでお披きになる風はない。宮はそれを袂に入れたまま、執行を相手にしばらくは雑談だった。――それも、多くは兵事であった。山門はいまや堅固な城塁と何の変りもなかったのである。