Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans

Aozora Bunko

――ござんなれ。

と、眼下に取りつく敵兵を待とうとする構想なのだ。

なお上には、数十ヵ所の櫓やら陣屋の板屋根も点々と木のまを綴ッて見え、南の高塚山にまでわたっているが、しょせん“城”とよべるほどな城ではない。――まして二十日足らずの早づくりだ。これが、関東二万騎の大軍を前に、どれほどな戦意をしめそうというのだろうかと、味方にしてさえ、あやぶまれたのは、当然である。

それすら心もとないのに、と正成の弟正季は、

「はてな」

と、その工事中は、たえず或る一不安に、かられていた。

というのは、宮方として、彼が日ごろ数えていた近郡の諸武士が、一こう呼応もせず、ここへ合流して来る風もないからだった。で、ひとり不安と忿懣にたえず、或る日、工事の場でふと、そのことを兄に洩らすと、正成は愍然と、弟の顔をみて言った。

「そんなものを、おまえは初めから計算に入れていたのか。……あらまし、かれらは日和見主義。そう見ておれば間違いはない」

さらに言った。

「それにひきかえ、領下の百姓老幼までが、正成の下知に従って、ともあれ必死に働いてくれておるのは、何と、あわれな者ではないか。