Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lisez 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 222 108 caractères · 446 écrans

Aozora Bunko

これも並ならぬ風懐だしお覚悟である。結果的に、帝にとって百余日の八寒の獄が、いやおうなしの、禅の床になっていたともいえようか。とまれ笠置以前のそのお人からくらべれば、一歩も二歩も帝王的な大人になっておられたのはまちがいない。

「……またいつ帰るか、帰る日もないか。今朝の朝餉は都でのさいごの膳。わけていとしく美味かったの。……おそらくは、これも道誉の心入れか」

御食がすむ。

女房たちが理髪を仕える。

御服は直衣、指貫、白綾のおん衣。

やがて三位ノ廉子がお冠をさし上げている庭前に人影がさした。今日を晴れと装った道中警衛の大将佐々木道誉であった。

「はや巳ノ刻(午前十時)にござりますれば、そろそろお立ち出でのご用意を」

御車の六波羅発門は、午前十時と布令出されている。まだ早めとは思われたが、道誉の催促を知ると、後醍醐はやおら、三人の妃、二人の侍者をかえりみて、

「……いざ、行くか」

どこやら自嘲をふくむようなご眉色の下に、広縁へ出、そのままずかずか車寄せの上に姿を見せられた。

後醍醐が現われると、階下ではみな、ひれ伏したので、満庭、衆人の背の波だった。およそ綺羅な波映えといっていい。