Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lisez 私本太平記(四) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 229 324 caractères · 458 écrans
すると、そのとき近郷の稲井瀬ノ五郎義弘という者が、手勢をひきいて門前へひしめいて来た。彼はこのへんでの鎌倉目付といわれている男なのだった。
「永観どの、大変だ。折も折、夜見ヶ浜からの早馬には、天皇がこの地方へ逃げ込んだという沙汰だぞ。そのため隠岐ノ判官の追手三百余人が、いま上陸中だとある。名和は早くも裏切りとみえるが、当家の向背はどうなのだ。ただちに隠岐の追手へご加勢か、それとも裏切り者の名和と一つ腹か」
「心外なご疑念を」
と、永観は門外へ出て来て、言い放った。
「たとえ同族でも、長年めの裏切りはゆるしがたい。われらは鎌倉殿へ二心のない者、いざすぐ隠岐の判官の追手へ力をかし申さん」
彼の家の子郎党といっても、わずか三、四十人にすぎなかったが、全家をあげて稲井瀬ノ五郎の手へ合流し夜見ヶ浜のほうへ急いだ。
そのころ、淀江あたりを中心に、浜では、隠岐の追討勢があらまし上陸を終っていた。
しかし首将の清高以下、兵の二百余人はみな舟暈いでもしたような疲れを引きずって、はなはだ気力を欠いていた。
むりもない。
帝の脱出とわかって、大あわてに島後の船手を編成して海上を追ッかけ出したときからして、すでに半夜以上な手おくれは踏んでいる――。