Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

「あれは、どこの何者だ」

と、捕まえた船頭に、尼と覚一の身柄や行き先を、詰問している声がした。

もとより彼が知ろうはずはない。それを船頭は、どう答えたのか。やがてのこと、兵の数人が舟へ降りて来て、

「起て」

と一言、母子を陸へ追い上げた。そして、縄をかけようとするので、草心尼は、いわれない縄目と、恐さも忘れ顔に、覚一を庇って叫んだ。

「では、縄目だけはゆるしてやれ、女と盲だ」

部将らしい者はそういったが、草心尼のことば遣いや、尼ながら品位のある容姿が、彼らの疑惑を深くしたらしかった。

「――何者かに頼まれて、都の公卿へ、連絡にでも行くのではないか。そのため、わざと盲など連れ歩いているのだろう。さもなくば、こんな日、洛中へ行くばかはない。……ともあれ、あれへ乗って貰おうか」

と、街道の端に寄せてある牛の荷車を指さした。

見ると、つい今、捕えられた郷士の一人が、がんじ絡めとなって、車の上に転がされている。いや、浅い板で囲ったその中には、旅人姿の者や僧侶や武士や、十人以上も、獣のように積まれていた。

草心尼の弁明は、何一つ、耳にもかけられはしなかった。――都の変とは、何なのか。