Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lisez 私本太平記 (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 598 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

――葛原ヶ岡の草の小道から西の方へ、とぼとぼ歩きかけていた。

すると。

どこにいた人か、その影を追っかけて、

「助光。――助光っ」

と、二度ほど呼びかける声がした。たしかに、助光もそれを耳にして、キッと振り返ったようであったが、なに思ったか、彼はとっさに足を早めて、鹿のごとくその姿をどこかへ消してしまった。

「……?」

むなしく夕月の果てを見送って、草の小道をもとの方へもどって来た人は、銀杏形の忍び笠の上から、さらに頬かぶりの布を顎の下でむすび、どこかの郷士らしい風采に見えるが、それは高氏の微行の姿だった。

やがてその高氏も、雨のような虫の音の中で、土饅頭へ黙拝していた。それから、人間さまざまな運命やら時局の急にたいして、何かを思いつめてでもいるように、仮粧坂の暗がりを、ゆっくり降りて行くのだった。

ところが、彼の行くあとから、またひとり、ひたひた尾けて行く者があった。影と形のようにである。

坂を降りると、高氏は小さい寺の門へ入った。馬を預けておいたものらしい。やがて自身、馬を曳いて、寺の横道から乗って出て来た。そして、そのときはもう笠も頬かぶりも脱って、つねの武者烏帽子になっていた。