Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あきくさのみ

秋草の顆

佐左木 俊郎

Lisez 秋草の顆 (あきくさのみ) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 856 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

ただ、無暗とがちゃがちゃさせていた。併し、貞子はどうしたのか立っては行かないので、私は仕方なく又立って行ってその扉をあけた。そして私はすぐに峻の靴先を視詰めていた。やはり彼の靴先も露でしっとり濡れ、その上に秋草の顆がいっぱいについていた。褐色の、楕円形の花のような、細かな細かなその顆は、貞子の靴先についていたのと、全く同じものであった。同じ草地からの顆であった。私はひどく明るい朗らかなものを感じさせられた。そして私は腹の底で「峻も貞子も、注意して靴先を拭って帰るものだよ」というようなことを言わずにはいられなかった。併し、それは例によって言葉にはならなかった。ただ一言「遅くなりました」とさえ言うことの出来ない峻に対して、私はもちろん「どこを歩き廻っているんだ?」というような質問の出来る人間ではない。私は、一緒に歩いていたのなら、一緒に帰って来ればいいのにというようなことを身体の中のどこかで呟き、この二人の上に何かしら微笑を感じながら書斎に戻ったのだった。

――昭和六年(一九三一年)『今日の文学』一月号――