Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんのしゅっぱつ
秦の出発
豊島 与志雄
Lisez 秦の出発 (しんのしゅっぱつ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 532 caractères · 29 écrans
落着いていた。その顔を私は久しぶりに美しいと観た。それから久しぶりの彼の支那服の襟元の刺繍を眺めた。
「洪正敏に逢って来たところだ。」と彼は言った。
私は黙ってうなずいた。他に返事のしようもなかったのだ。――洪正敏というのは、南市地区に潜居してる青の大頭目である。その頃、青※(「邦/巾」、第4水準2-8-86)の頭目としては朱鵬がいて、洪正敏は全く隠退し、表向きに顔を出すことはなかったが、然しその潜勢力は朱鵬を凌ぐものがあると言われていた。
私が珈琲をすすってる間に、秦は陳振東と数語を交わし、陳振東は私の方に鄭重な辞儀をして、外へ出て行った。
「凡て済んだよ。」と秦は晴れやかに言った。
私は洪正敏との面会の模様を聞きたかった。秦は何一つ隠そうとしなかった。打明けて話すのが楽しそうでもあった。――珈琲をすすり、煙草をふかし、それから、ごたごた散らかってる室に行って、支那服を背広と着かえ、わざと時間をつぶし、少し後れめに上階の食堂へ行き、食事をしたのだが、その間に彼は断片的に話した。
その断片的なものを、茲に綴り合してみよう。
はじめ、洪正敏が逢ってくれるかどうかが危ぶまれた。