Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんのゆうしゅう
秦の憂愁
豊島 与志雄
Lisez 秦の憂愁 (しんのゆうしゅう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 389 caractères · 19 écrans
日本の各社会層にはその社会層特有の訓練があるもので、その訓練が身について教養となる。このことを観取しなければ日本人の美点は分らない……。
論旨が、秦啓源に理解されたかどうかは、星野にも分らなかった。なにしろ、酔った上でのことだ。然しながら、思い出すと星野は苦々しかった。ばかばかしいことを論じたという気がした。二人の愛情のことだけを尋ねて、慰めてやればよかったのだ。
そのことをも、星野はもう殆んど忘れていた。ただあの街頭の一瞬の情景だけが、後になるほどへんに生々しく浮んでくるのだった。
その情景は遠く、蘇州美人の面影は手近にぼやける……。街衢の騒音がすべてを呑みつくそうとするのだ。そういう状態で星野がぼんやりしている時、静に扉が叩かれて、老年の室付ボーイがはいって来た。一葉の名刺を差し出した。
大型の名刺で、ただ姓名だけ、秦啓源と印刷してあった。鉛筆で簡単な書き込みがあった。――御隙ならば御来駕願い度く、この使者が御案内仕る可く、当方より参向すべきを、失礼の段御容赦下され度く候。
星野は飛び上った。廊下には一人の中国人が待っていた。招じ入れると、彼は恭しく一揖して、扉のそばに佇んだきりだった。