Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ほどよいひと

程よい人

豊島 与志雄

Lisez 程よい人 (ほどよいひと) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 328 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

いつも、ありのままの素顔で押し通してるつもりだ。」

ふしぎに、いや当然かも知れないが、私の心は冷たくなっていった。そして彼女をヒステリックだとさえ感じた。彼女の頬は蒼ざめて澄んでいる。それを見ながら私は、彼女の日常の顔の変化、皮膚が美しく冴えたり醜くくすんだりする変化を、ふと思い浮べて、それは単に生理的変化にすぎないものだろうと妙なことを考えた。

「僕の顔はいつも素顔だよ。ただ、生理的変化がないだけだ。」

彼女はきっと顔を挙げた。その眼に敵意めいたものが閃めき、頬の肉が痙攣的に震えた。彼女は自分のコップにもウイスキーをつぎ、残りを私のコップにすっかり空けてしまった。

「お酒には勝手に酔って、そして女に向ってはいつも、生理的変化、生理的変化って……。」

「いや、そんな気持ちで言ったんじゃないよ。」

「よく分りました。仮面には生理的変化はございません。」

私は口を噤んだ。いきなり抱きついたり接吻したりすれば、私の粗忽な言葉も冗談になってしまうかも知れなかったが、彼女から私を押し距てるものが何かあった。それは、程好きを守るという私の主義だったであろうか。

私はウイスキーに程好く酔ったが、彼女とはもう融和の出来ない気持ちで、その室を出た。