Classiques japonais avec furigana
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くうしゅうかのにほん
空襲下の日本
海野 十三
Lisez 空襲下の日本 (くうしゅうかのにほん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 527 caractères · 30 écrans
王子、板橋、赤羽、道灌山の各聴音隊からの報告から綜合算出しまして、高度五千六百メートルです」
「そうか。立川の戦闘機も、ちょっと辛い高度だな。それでは高射砲に物をいわせてやろう。第一戦隊、射撃準備!」
対空射撃高度が十キロを越す十糎高射砲の陣地では、一斉に砲弾と火薬とが填められた。照準手は石のように照準望遠鏡に固着している。
間近かの照空灯は、聴音隊からの刻々の報告によって、まだ灯火の点かない真暗な鏡面をジリジリ細かく旋廻している。点減手はスウィッチの把手を握りしめている。もう耳にも敵機の轟々たる爆音がよく聞きとれた。
「射ち方始めッ」
警笛がピリピリと鳴る。眩むような、青白色の太い火柱がサッと空中に立った。照空灯が点火したのだ。三条の光芒は、行儀よく上空でぶっちがった。
光芒の中に、白く拭きとったような丁字形が見えた。三つ! 果して敵の重爆撃機の編隊だ。見なれないその異様な恰好!
一秒、二秒、三秒……
高射砲は、息詰るような沈黙を見せている。射撃指揮手は、把手をグルグルと左右に廻して目盛を読もうと焦っている。遂に敵機の方向も速力も出た。数字を怒鳴る。