Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

Lisez 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 95 012 caractères · 189 écrans

Aozora Bunko

「いえ、いえ、お父さん」弦三は、首を振った。

「僕は、もっと早く作って、届けたかったのです。だが、お金もなかったし、僕の腕も進んでいなかった……」

長造は、弦三のことを、色気づいた道楽者と罵ったことを思い出して、暗闇の中に、冷汗をかいた。

「それが、今夜になって、やっと出来上ったのです」弦三は嬉しそうに呟いた。「僕は、東京市民の防毒設備に、サッパリ安心が出来ないのです。行かせて下さい。いつも僕のこと想っていてくれる兄さんに、一刻も早く、この手製のマスクを、あげたいんです」

感激の嗚咽が、静かに時間の軸の上を走っていった。

「よォし。行って来い」長造がキッパリ云った。「いや、兄さん達のために、行ってやれ。だが、気をつけてナ……」

あとには言葉が無かったのだった。

「じゃ、行ってまいります」

これが、弦三と一家との永遠の別れとなったことは、後になって、思い合わされることだった。

「弦――」

母親のお妻が、我児を呼んだときには、弦三の姿は、戸外の闇の中に消えていた。

非常管制の警報は、いつしか熄んでいた。

外は咫尺を弁じないほど闇黒だった。

弦三は、背中に、兄に贈るべきマスクを入れた包みを、斜に背負い、自分のマスクは、腰に吊し、歩きづらい道を、どうかして早くすすみたいと気を焦った。