Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

Lisez 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 95 012 caractères · 189 écrans

Aozora Bunko

肝心の××町というのが、サッパリ聞きとれなかった。

広瀬中佐の銅像の向うあたりに、うち固って狂奔する一団の群衆があった。

「やッ、ホスゲンの臭いだ!」

弦三は、腰をさぐって、彼の手製になる防毒マスクを外した。そのうちにも、ホスゲン瓦斯特有の堆肥小屋のような悪臭が、だんだんと、著明になってきた。彼は、防毒マスクをスッポリ被ると、すこしでも兄達の住んでいる方へ近づこうと、風下である危険を侵し、避難の市民群とは反対に、神保町から、九段を目がけて、駈け出していった。

だが、神保町を、駈けぬけきらぬうちに、弦三は運わるく、近所に落ちた爆弾の破片を左脚にうけて、どうとアスファルトの路面に倒れてしまった。

「なに糞、こんなところで、死んでなるものか!」

彼は歯を喰いしばった。

路面に転っていると、群衆に踏みつぶされる虞れがあるので彼は痛手を堪えて、じりじりと、商家の軒下へ、虫のように匍っていった。

右手を伸ばして、傷口のあたりをさぐってみると、幸いに、脚の形はあったが、まるで糊壺の中に足を突込んだように、そのあたり一面がヌルヌルだった。湧き出した血の赤いのが、この暗さで見えないのが、せめてもの幸いだったと、弦三は思った。