Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まどのしたをとおったおとこ

窓の下を通った男

小川 未明

Lisez 窓の下を通った男 (まどのしたをとおったおとこ) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 4 485 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

それから、近所の人々に、それとなしに聞いてみると、なんでも遠方へ越していかれたようです。相手が、きたならしい乞食であるので、だれもくわしく、しんせつにものをいって教えてくれるものがなかったのです。男は、ついに知ることができませんでした。

哀れな男は、またまったく世の中から、見捨てられた、さびしい人間となってしまいました。いつまで、同じところに、さまよっていてもしかたがなかったから、村から村へ、町から町へあてもなく、さすらいの旅をすることとなりました。その間に、また、長い月日は、しぜんにたっていきました。いろいろの土地を歩きましたが、乞食の男は、ふたたび、あのしんせつな女の人にめぐりあうことはなかったのです。

男は、どうかして、もう一度めぐりあいたいものだと思いました。しんせつにしてもらった恩を忘れなかったのであります。

ある年のこと、男は、街道を歩いていました。北の方の国であって、夏のはじめというのに、国境の山々には、まだ、ところどころ、白い雪が消えずに残っていたのでした。けれど、野原にはいろいろの花が咲いて、澄んだ空の下で、日の光にかがやき、また、どこともなく吹く風に、さびしそうに揺らいでいました。