Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lisez 細雪 (ささめゆき) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 226 715 caractères · 431 écrans

Aozora Bunko

妙子はそれでも頼る人があるからよいが、雪子は今貞之助に見放されたらどうなるであろう。………今迄幸子は、妙子のことで我慢のならないことがあると雪子に訴え、雪子のことは妙子に訴えしていたので、平素はさほどでもないけれども、こう云う時に妙子が家にいないのは、この上もなく淋しくもあり不便でもあった。

「お母ちゃん」

と、悦子が書斎の襖を開けて、閾際に立ちながら、怪訝そうな眼つきで母親の顔を覗き込んだ。今しがた学校から帰った彼女は、家の中が妙にひっそりしているので、何事かあったのを感じたのであろう。

「お母ちゃん、何してるの」

と云いながら這入って来て、母のうしろからもう一度顔を覗き込んだ。

「ねえ、何してるのよ、お母ちゃん、………お母ちゃん、………」

「姉ちゃんは?」

「姉ちゃん二階で本読んではるわ。………ねえお母ちゃん、どうしたの。………」

「どうもせえしません。………姉ちゃん所へ行ってなさい」

「お母ちゃんもいらっしゃい」

そう云って、悦子が手を取って引っ張ったので、

「ふん、行きましょう」

と、幸子は気を変えて立ち上った。そして一緒に母屋へ戻ると、悦子だけを二階へ遣って、自分は応接間へ這入って行き、ピアノの前に腰掛けて鍵盤の蓋を開けた。