Classiques japonais avec furigana
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えほんのはる
絵本の春
泉 鏡花
Lisez 絵本の春 (えほんのはる) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 447 caractères · 13 écrans
いまの祠は……だけれど、その以前からあったというが、そのあとの邸だよ。もっとも、幾たびも代は替った。
――余りな話と思おうけれど、昔ばかりではないのだよ。現に、小母さんが覚えた、……ここへ一昨年越して来た当座、――夏の、しらしらあけの事だ。――あの土塀の処に人だかりがあって、がやがや騒ぐので行ってみた。若い男が倒れていてな、……川向うの新地帰りで、――小母さんもちょっと見知っている、ちとたりないほどの色男なんだ――それが……医師も駆附けて、身体を検べると、あんぐり開けた、口一杯に、紅絹の糠袋……」
「…………」
「糠袋を頬張って、それが咽喉に詰って、息が塞って死んだのだ。どうやら手が届いて息を吹いたが。……あとで聞くと、月夜にこの小路へ入る、美しいお嬢さんの、湯帰りのあとをつけて、そして、何だよ、無理に、何、あの、何の真似だか知らないが、お嬢さんの舌をな。」
と、小母さんは白い顔して、ぺろりとその真紅な舌。
小僧は太い白蛇に、頭から舐められた。
「その舌だと思ったのが、咽喉へつかえて気絶をしたんだ。……舌だと思ったのが、糠袋。」
とまた、ぺろりと見せた。