Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぜつえんたい
絶縁体
豊島 与志雄
Lisez 絶縁体 (ぜつえんたい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 752 caractères · 38 écrans
或る日、市木さんが写生してるところへ私は行き会った。神社の境内をぬける道のほとりで、そこに大きな枯木があって、上方の枝は切り取られてる幹に、ところどころ、太い瘤々が盛り上っていた。その樹幹を、市木さんは例のスケッチブックに、鉛筆で写し取っていた。
私はそこへ行って、横から覗いてみた。市木さんは振り向きもせず、一心に描いていた。私が見てもどうも上手な絵とは思えなかった。やがて市木さんは、ちょっと小首を傾げて、それから私の方を向いた。
「あの幹は、いくら書いても倦きませんよ。」
そして画帖をめくって見せた。瘤々の盛り上ってる樹幹が、幾つも写生してあった。それをぱらぱらめくって見せただけで、私の意見は求めず、すぐに竹籠へつっ込んでしまった。
しぜんに、二人は並んで歩きだした。私は家へ帰るところだったし、市木さんもそうだったらしい。
「油や水彩など、そういう絵もお書きになりますか。」
「いや、そういうものは書きません。墨絵もわたしは書きません。」
市木さんに言わすれば、色彩とか濃淡とかを用いることは、自然を画家自身のものとすることになるのだった。いくら自然自体を取扱おうとしても、色彩や濃淡によって必ず画家自身のものとなる。