Classiques japonais avec furigana
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りょくいのおんな
緑衣の女
松本 泰
Lisez 緑衣の女 (りょくいのおんな) de 松本 泰 (まつもとたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 168 caractères · 25 écrans
ギルは烈しく女を叱り飛して、バラ/\と階段を馳上った。泉原も続いて後に従った。廊下から掛った鍵を捻って三階の表部屋をあけると、緑色のドレスを着けた娘が手足を縛されて椅子に括りつけられたまゝ、部屋の隅に小さくなっている。その瞬間、泉原はてっきりその女をグヰンだと思った。然しそれは過りで、背恰好や顔立は見違える程似ているが、全くの別人であった。不意の闖入者に彼女は度を失って、少時言葉もなく立竦んでいたが、相手の二人が救助に来たのであると知ると、
「有難うございました。私は昨晩から悪者の為にこの部屋に監禁されているのでございます。父様はどうなすったでしょう。どうかすぐH旅館へ案内して下さい。私はAというもので、父様の看護の為、当地にきているのです。」と息をきらせながらいった。泉原は素早く馳寄って女の縛を解いた。A嬢といえば先刻海浜旅館で見かけた婦人であると思っていたが、今この部屋に監禁されている令嬢を見れば、旅館でA嬢の名を騙っているのはグヰンに相違ない。A嬢はギルに向って手短かに昨夜来の出来事を語った。それによると彼女は昨夜、義理の母に当るA夫人から電報を受取って停車場まで出迎えにいった。