Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よしつねのむすめ

義経の女

山本 周五郎

Lisez 義経の女 (よしつねのむすめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 735 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

となってしまいます」

妻への情に負けて、多くの人を傷つけ、世を騒がし、ひいては家を廃絶するような、みれんなことはして呉れぬよう、自分ひとりの命はもういずれとも覚悟をきめているから、千珠は心をこめてそうねがった。有綱には妻の心がよくわかった、その言葉にも誤りはない、今はなにごとをおいても天下を統一し、世を泰平にしなければならぬときである、そして妻はおおしくもおのれの覚悟をきめているのだ、

――だが、そうだからといって、みすみす妻ひとりを死なせにやれるだろうか。

有綱は苦しくかなしく、胸いっぱいにそう叫びたかった、おそらくその気持がわかったのであろう、千珠は涼しげに微笑さえうかべながら云った、

「千珠は命をめされるかも知れません、けれどもそれは、世のために大きく生きることだとおぼしめして下さいませ」

有綱は眼にいっぱい涙をため、やさしく妻を見まもりながらうなずいていた。それから数日して、或晴れた日の朝、千珠は迎えの輿に乗って鎌倉へと去った。

附記 千珠という名は仮のものである、義経の女というだけで名が伝わっていないため、筆者がかりにそう呼んだにすぎない。