Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みみこうすい
耳香水
大倉 燁子
Lisez 耳香水 (みみこうすい) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 465 caractères · 29 écrans
『相手の男?』
『そうです』
『西洋人?』
『ええ』
私はふと耳香水を思い出しました。
『耳香水どうなすって?』
張氏は妻君と顔を見合せて黙っていましたが、軈て低い声でこんなことを云いました。
『盗まれちゃったんですよ。この机の上にのせて置いたんですが、いつの間にか消えちゃってね』
『いつ頃の事なの?』
『四五日前までは確かに机の上にありましたんですよ』
『不思議ですわね』
『全く変ですよ』
『女給さんの旦那さんが持って去ったんじゃありませんか?』
『なるほど、そうかも知れない』
二人は始めて合点が行ったというように声を合せて云うのです。
『でも無断で持って行くって法はないわね』
『それやそうです。一つ尋いてみましょう』
私は妻君と一緒に二階へ昇って行きました。何とかしてその相手の男を見たいと思っていた処へ、恰度耳香水の紛失した話が出たので、うまく釣り出せた訳なのです。私は指先で静にノックしました。すると直ぐ扉が開いて、奇麗な顔をした西洋人が首を出しました。ひょいと顔を見合せた瞬間、私は胸がドキリとしました。というのは彼の髪の毛、口髯、眉などの色合いがいかにも鼠色という感じがしたからでした。