Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せいにょにんぞう

聖女人像

豊島 与志雄

Lisez 聖女人像 (せいにょにんぞう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 549 caractères · 28 écrans

Aozora Bunko

現在の如き社会では、結婚によって女は一種の自立性を獲得するが、男は、少くとも私は、自立性を乱されそうだ。

――清子とならば、私は進んで結婚するだろう。清子は私の自立性を乱さないばかりか、却ってそれを助長してくれるだろう。つまり、彼女はそういう性格の女なのだ。否、このようなことを言うのでさえ、彼女にはふさわしくない。私は彼女と逢うことを恐れる。一度遇えば、もう瞬時も離れ難くなるだろうから。何物も要求せず、ただにこやかに微笑んでるだけの彼女は、私の孤独圏を甘美なものにしてくれるだろう。

私は自己の孤独圏を確保したい。そこへだけは、何物にも踏み込ませたくない。そここそ、私の思念の聖域なのだ。

晩年の別所のことを私は思い出す。彼は文学者で、逞ましい作家だった。客と対談しながら、さらさらと原稿を書いた。私が遊びに行くと、如何に忙しい仕事の最中でも、決して嫌な顔をせず、書斎に招じた。そして一方では私と歓談しながら、一方では原稿を書いた。新聞雑誌の編輯者や其他の訪客が来ても、適当な応接をしながら、原稿を書いた。それもでたらめな原稿ではなかった。時々眉根を寄せて考えこんだが、客に向ってはにやりと笑った。