Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はだいろのつき

肌色の月

久生 十蘭

Lisez 肌色の月 (はだいろのつき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 50 706 caractères · 101 écrans

Aozora Bunko

一人だけでいるところで死なれでもしたら、どんなことになるかわかったものではない。

「ともかく、長椅子に行きましょう」

大池を長椅子のところへ連れて行くと、上着を脱がせ、クッションを集めて座位のかたちで落着かせた。洗面器に井戸水を汲んできてせっせと胸を冷やしたが、こんなことでは助かりそうもなかった。

「応急薬といったようなものはないんですか、あるなら探して来るけど」

大池は食器棚を指さした。

「……ジギタミンと、赤酒を……」

食器棚の曳出しにはそれらしいものはなかったので、浴室へ行って、壁に嵌め込んだ鏡付のキャビネットの中を見た……「ジギタミン」というレッテルを粘った錠剤の瓶がガラスの棚の上に載っていた。日本薬局方の赤酒は、赤い封蝋をつけてウイスキーの瓶のとなりに並んでいた。

「安心なさい。ジギタミンも赤酒もあったわ」

コップの水を口もとに持っていくと、大池は飛びつくようにして錠剤を飲みこんだ。

三十分ほどすると、大池は眼に見えて落着いてきた。荒い息づかいがおさまり、脈のうちかたもいくらか正常になったが、寒いのかとみえて、鳥肌をたててふるえている。

燃えさしの松薪を集めて煖炉を燃しつけにかかると、大池は恐怖の色をうかべて呻いた。