Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lisez 自由人 (じゆうじん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 030 caractères · 139 écrans

Aozora Bunko

然し悲惨なのは、家族の者たちが現存しているからだと、俺は解釈した。その帰還者が全然の独り者だったら、悲惨なことなどありはしないのだ。その上、俺は上海で、無籍者に知人があった。勿論これは国籍がないという意味であるが、国籍がなければ随って国内戸籍もないわけだ。彼は至極朗かで呑気だった。書店に勤めて、かたわら詩を書いていた。飲食物は固より、日光と空気とを充分に享楽してるのだ。

俺は全く独り者だった。そして戸籍も恐らく無くなってるだろう。随って国籍も無くなったわけだ。つまり、直接に人類の一員となったのだ。この思いは、青天白日の気持ちだった。――それが、俺をいつも誘惑する。

そのまま広島を立ち去れば、俺はどうなっていたか分らないが、或は立派であったろう。だが俺は、のこのこと、二駅先の田舎に縁者を訪ねて行ったものだ。そしてそこで、身内の者たちの墓地も知り、俺自身の戸籍も明確にし、一年ばかり暮した周志淵から東京の周組南に宛てた長文の手紙が、上海を立つ時周志淵から貰ったまま、鞄の中にはいっていた。それから俺は、旧師の長谷部先生を京都に訪れ、この老先生の日本再建に関する情熱に、ふしぎな驚嘆を感じた。