Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えんしょ

艶書

山本 周五郎

Lisez 艶書 (えんしょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 027 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

それ以来なにか噂はないかと思って、母や兄嫁の話に注意していたが、やはり七重の消息は聞けなかった。忠也は「子供も生めないとなると問題だから」と云った。笠井には老夫婦がいるから、たしかにそれは問題になるだろう。まして忠也には隠し子がある、「稲村」の娘に産ませた男の子は、もう五歳になるはずであった。

「噂のないのは無事にいっている証拠だろうが」と出三郎はひとりで重く溜息をつくのであった、「しかし病気ばかりしているというのはどういうわけだろう、もしかして隠し子のことがわかって、それが原因でまいってしまったのではないだろうか」

秋になったある日、出三郎は新村邸の庭で七重の声がするのを聞いた。まぎれもなく七重の声のようだったので、胸をおどらせながら井戸端へ出ていった。しかし、生垣のそばまでいってみても、誰の姿も見えなかった。彼は両手をまるめて口に当て、そっと鳩の鳴きまねをした。初めは低く、しだいに高く、……ほっほう、ほっほうとやった。するとふいに生垣のすぐ向こう側で一人の女の子が立ちあがった。そこの生垣の蔭で、しゃがんでなにかしていたらしい、六つばかりになる、まる顔の、可愛い女の子であった。