Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

これが、全財産である。蓋を取り、ごたごたと詰めこんである衣類を持ちあげて、底の方に、手をさしこんだ。

(おや?)

と、不審の面持になった。

急に、あわてて、中をまぜかえした。

「ない」

顔色を変えて、呟いた。

道後湯の町で買いもとめた助広の小刀、故郷を飛びだすときにも、どこを放浪しても、常に、肌身はなさず持ち歩いたのである。

(盗まれたか?)

悪いときには、悪いことが重なる。乱れた心を、助広の美しい肌を眺めて、落ちつけようと思ったのに、碌なことはない。――と、金五郎は、いよいよ腐った。

「金さん」と、いつ入って来たか「ノロ甚」が、「短刀じゃろ? ありゃあ、おマンさんが借りてゆくちゅうて、持って行ったどな」

「なんて? おマンさんが、おれの短刀、持って行った?」

金五郎は、唖然とした。

「おれが、一人で、ここに寝ころんどったらな、おマンさんが入って来て――金五郎さんをいくら探しても、姿が見えん。相談して借りようと思うたけんど、居らんけ、仕方がない。急に、要ることが出来たけ、借りて行きます。あんた、証人になっといて。……そんなこというてな、その行李の中から、取りだして持って行ったよ」