Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

金五郎は、立ちあがった。

貯炭場に、行ってみた。もう、みんな午後の仕事にかかっている。

探すまでもなく、マンの姿は見えた。雁爪を持って、入れ鍬をしている、きびきびした働きぶりは、いつもとすこしも変りがない。

金五郎は、狐につままれたような気がした。

マンは、金五郎の姿を見つけると、雁爪をおいて、かけ寄って来た。声を落して、

「金五郎さん、あなたの留守に、刀を借りました。吉田の子分が、仕掛けて来るかもわからんと思うたもんじゃけ……」

「刀は?」

「石炭の中に、隠してあります」

指さすところを見たけれども、黒い石炭だけで、なにも見えない。帆前掛けを外しているから、それにくるんで、埋めてあるのであろう。

(この女は、無頼漢どもが仕返しに来たら、刀を抜いて、戦うつもりじゃ)

金五郎は、マンの若々しく、どこか、あどけないところさえある顔を、おどろきの眸で、あらためて、見なおした。

(こういう女を、女房にしたい。これは、女の龍かも知れない)

男龍と女龍とが、仲よく、二匹ならんで、黒雲をかきわけながら、ぐんぐん、昇天してゆく幻影が、金五郎の眼に、ありありと、浮かんだ。