Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
その気配に、
「おマンけえ?」
ランプの下から、母イワが、ワラジ編む手を休めて、表の暗がりをすかして見た。
「はい」
と、しかたなく、答えた。
「お父っあんには、逢わなんだけえ?」
「いンね」
「山に居ったんじゃあ、なあのけえ?」
「煙草畠に行っとりました」
「やンれ、やンれ、お父っあんは、炭焼小屋じゃろうというて、山の方に、お前を迎えに行きんさったんじゃが。今日は、朝っぱらから、たいそう、狐どんが鳴きよるけえ、おマンが化かされたらいけん、というて……」
「すみません」
マンは、牛小屋に行った。犬も、ついて来た。牛は、もう、マンの足音を知って、小屋の板壁を角でつき、足踏みをはじめた。去年生まれた小牛と二匹、親子ともよく彼女になついている。ブルルルと鼻を鳴らす。歓迎の啼き声を出す。
牛小屋に入ると、マンは、棚のうえのランプに、火を点じた。飼料桶に、藁を入れてやった。牛は親子で、早速、それを食べはじめる。
マンは、牛小屋の戸をしめ、ふところから、二通の封書をとりだした。耳をすまし、誰も来る気配のないのをたしかめてから、兄林助の手紙から先に、封を切った。
小学校三年を中途でやめた兄の手紙は、片仮名で、ところどころに入っている漢字は、全部、嘘字である。