Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

顔に、庖丁で、二つ三つ、傷でも、こさえとかにゃあ」

小方たちは、そんなことをいいあっては、にぎやかに、げらげらと、笑った。

金五郎は、黙って、聞いていた。

江崎満吉が、今夜半、なぐりこみを掛けて来ることは、まだ誰も知らない。マンと、金五郎の夫婦だけだ。

金五郎は、彦島で聞いた話を思いだした。江崎満吉が、なぐりこみのときには、かならず、新しい四斗樽の鏡を抜くということは、ほんとうらしい。松川源十のいうように、花見酒ではないのである。

大成丸の荷役を終えて帰ると、金五郎は、夜を待った。

五時になると、安養寺の梵鐘が、鳴りだした。音は、近い。

金五郎は、玄関正面にかかっている柱時計を降した。新品である。

「七分ほど、遅れちょる。この時計、あんまり狂うたことはないとじゃが、ゼンマイがゆるんどるんじゃろう」

台所で、晩飯の支度をしているマンを見て、そんなことをいいながら、坐りこんで、ギチギチと、ネジを巻いた。

時間をあわせてから、すぐには、掛けようとせず、両手で、愛撫でもするように、時計を、ためつ、すがめつした。八角形になった外枠の中に、アラビヤ数字で書かれた、丸い文字盤がある。