Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

猫が、奇妙なこの場の様子を解しかねたように、金五郎が刀を動かすたびに、怪訝な眸で見る。盥の傍で、丸くなって眠っているのもある。

つまらなくなったように、去って行く一匹が、林立しているラムネの空びんを、一本、たおした。

カラ、カラッ、という、その音に、金五郎は、妙に、ぎくっとした。これまで、不思議と、恐怖の観念などはなかったのに、不意に、不安で、動悸が打って来た。

(ひょっとしたら、殺されるかも知れない)

そう思ったとき、故郷の松山のことが、急廻転する走馬燈のように、頭に浮かんだ。その流れのなかに、嫂スギの顔だけが、にゅうと、大きく飛び出た。その軽侮と憎悪の眼が、金五郎を睨みつけている。

(そうじゃ。村を出るとき、無断で借用した三十円だけは、なんとか、無理算段してでも、かえしておくんじゃったなあ……)

その悔恨で、胸が痺いた。

チン、チン、チン、チン、……

時計が、十二時を打ちはじめた。

二階に追いあげられた子分たちも、じっとしていたわけではない。じっとしては居られなかった。音のしないように、大活躍をした。

四五人、屋根伝いに、裏の方に降りると、道具番の清七が、小屋の鍵をあけて、雁爪、スコップ、陸尺棒、などを取りだした。