Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

さらに、音を立てて、鱗が落ちる。

まっ青な天には、相かわらず、白馬の群が快適な逸走をつづけている。

力尽きようとしたとき、瀕死の耳に、

「あなた」

女の声が、息のかかる近さで聞えた。

龍は七転八倒するのをやめて、耳を傾けた。

その声は、聞いたことのあるような声でもあれば、まるで知らない声のようでもあった。毎日聞きなれた声のようでもあり、一度も聞いたことのない声のようでもある。

しかし、その声が、ふたたび、

「あなた」

前よりも、一層大きく、近く、鼓膜をふるわせてひびいたとき、金五郎は、全身に電流のようなものがつたわるのを感じた。すると、地面に、花びらをまき散らしたように、剥げ落ちていた鱗が、あたかも、強力な磁石で吸いよせられるように、一枚ずつ、音を立てて、身体に飛びかえって来た。気がつくと、いつか、前肢には、ふさふさとした菊の花束が握られている。

その美しい花の色が眼を射、強い芳香が鼻孔をえぐったとき、龍は、唐突に、一つのことを思いだしていた。一間四角の箱である。それは、上海コレラ騒動のとき、とじこめられた掘立小屋だ。この箱の中にさし入れされた、菊の花のにおいにむせたことがある。