Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

顔が熱く火照り、目まで真ッ赤になっている。下唇を強く噛み、眉を曇らせているのは、胸中のなにかの苦悶と闘っているらしい。

布袋和尚のような原田雲井は、近眼鏡の奥から、細い眼で、眼前の青年の苦渋のありさまを、じっと見ていたが、コクッと、首の骨が鳴るほど、ひとつ、大きく、うなずいた。(わかった)という顔つきである。

「どうやら、雨は止んだらしいな」

天井を見あげて、そういうと、バッチョ笠を脱いだ。ちぢれた半白の頭髪が、鬘でも被っているようである。原田は坐りなおした。

真剣な顔になって、厳かに、

「勝則君」

「はあ」

「あんた、女が出来たとじゃな?」

返事が出来ずに、勝則は、また、うつむいた。そして、意を決したように、半纏の裏につけたポケットに、手をさしこむと、一通の封書を取りだした。それを、無言で、原田の前の机に置いた。

「もし、お留守だったらと思うて、この手紙、書いて来ましたのですが、……」

「拝見」

原田は、封を切って目読した。

外の雨も小降りになった模様である。天井から落ちる雫も間遠になった。しかし、ときどき、机の上、原田の頭、バッチョ笠、勝則の肩、手紙のうえなどに、瓦を剥がされた屋根裏の赤土と、天井の煤との混合した赤黒い汁がたれる。