Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
狐忠信に扮して踊っていたのは、「チーハー」の島崎勇次がひいきにしている文路という芸者だった。舞台の袖に、「文路さんへ・島崎勇次より」という、格段に目立つ花輪がある。
頭から足の先まで黒装束の黒子が、長い竿の先につけた火の玉を、忠信の動くにつれて、移動させていた。お堂の格子の前に来た忠信が、縁に膝をついて、形をきめ、ちょっとの間、静止したとき、急に、ゆらゆらと屋根がうごいたと思うと、すさまじい勢で、頭上から落下して来た。文路は、飛びのいて、危うく、下敷きになることからまぬがれた。びっくりした黒子が、火のついている竿をすてて逃げたので、見る間に、紙張りのお堂に燃えついた。
劇場のなかは、たちまち、大混乱におちいった。
火を消すために、大勢の者が、舞台にかけあがって来た。バケツや桶に汲まれた水が、どんどん、ぶっかけられる。長い竿をふりまわして、叩き消そうとする者もある。
「火事じゃあ」
「逃げれえ」
観客は、押しあい、へしあい、われ先に、場外へなだれ出て行った。火の粉が天井までもふきあげられ、逃げまどう客たちのうえに降り落ちる。女子供が多いので、けたたましい悲鳴、泣き声、怒号、が入りみだれて、そのすさまじい混雑は、まさに、地獄図絵といってよかった。