Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

時計を見た。――午前三時四〇分。総罷業決行の時間を、四〇分も過ぎている。この時間には、港湾中、一切の沖積荷役を停止して、引きあげる約束になっているのであった。金五郎は、非常の決意を眉の間に渡らせて、小伝馬船を、寿満丸に漕ぎよせた。

艀は三番ハッチの舷側に着いている。沖仲仕たちが、艀のなかで働いている。スコップ、雁爪を持って、一トン入りの竹の大籠に、石炭をすくいこむ。それは、甲板上のウインチ機械によってまき上げられる。空籠が降りて来る。それに、また、満たす。大籠は三つあって、次々に、廻転していた。金五郎たちが若い時分にやった、小籠を両方にふりわけ、歩板を上下する原始的荷役は、大正七年ごろから、すべて、この、大籠をウインチでまき上げる機械荷役に変化しているのだった。

金五郎は、艀に、飛びあがった。

「責任者は、誰な?」

切迫した面持で、仲仕にきいた。

「高司さんです」

「どこに居る?」

「デッキに居ったようにありますが、……」

「ちょっと」と、金五郎は、まきあげられようとする大籠を止めた。

満載されている石炭のうえに、飛びあがった。左手で籠のロープを握り、デッキの上に向かって、右手をあげて、合図した。