Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わかきひのせっつのかみ
若き日の摂津守
山本 周五郎
Lisez 若き日の摂津守 (わかきひのせっつのかみ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 437 caractères · 47 écrans
「――二十年待ったとて同い年ゃ同い年」
裏のほうでまだ唄の声がしていた。
「お侍さまはお城の方ですか」と老婆が眼脂だらけの眼で光辰を見た、「わたしはかすみ眼でよくお姿が見えないんですが」
「そうではない」光辰は口のまわりを拭きながら云った、「裏でうたっているのはこの土地の唄か」
「あれは市兵衛さんといって、気が狂ってるんですよ」と老婆がちぐはぐな返辞をした、「お城の方でないとすると旅のお方ですか」
「まあそうだ」と光辰が云った、「あの老人がきちがいだって」
「川辺が鴨猟のお止め場になって、この伊部村へ追われてから気が狂ったんです」と老婆は云った、「自分の田や畑がなくなっちまったもんですからね、ああやってなんにもならない赭土を、掘っては埋め掘っては埋めしているんです、畑でもうなっているつもりなんでしょう、もう三年以上もおんなじことをやってるんですよ」
「どうして、自分の田や畑が、なくなったんだ」
「いま云ったとおり、川辺が鴨猟のお止め場になったからです」
「お止め場とはどういうことだ」
老婆は布切で眼脂を拭きながら語った。
いま鴨の猟場になっている処は川辺村といって、三つの部落に五十余戸の農家があった。