Classiques japonais avec furigana
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らくらいのあと
落雷のあと
豊島 与志雄
Lisez 落雷のあと (らくらいのあと) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 072 caractères · 14 écrans
その淋しく頼りない存在の母と妹が、粉食ばかりに弱っていて、矢野さんところの残飯を有難がり、そして昔の夢を追って、鮨やショートケーキの架空な話を楽しんでるのでした。
そこへ、いよいよ雨が来て、雷鳴が激しくなり、それから、近くに雷が落ちました。
落雷の衝撃は、母と妹の心身を打ち拉ぎ、次で昂奮さしたかも知れませんが、一郎にとっては、その哀感を深めるだけでした。彼は自分自身をも、哀感の硝子張りの中に眺めました。雷に裂かれたあの欅を悲哀に似た決意で眺めた自分自身も、残飯の弁当をつっついてる自分自身も、そこにありましたし、更に、会社の謂わば残飯を貪ってる自分自身も、そこにありました。
この金網工場は、社長矢野専之助のいろいろな事業の僅かな一部に過ぎず、経営万端は殆んど専務水町周造に一任されていました。終戦後、一年にもなるのに、生産はまだ休止されて、職工たちはただ遊んでいました。新たな仕事が計画されている様子もありませんでした。時々、いろいろな資材、殊に針金の類が、密閉されてる倉庫から運び出されて、闇売買の種になってるようでした。そして事務関係の人員も、まだ大部分残って、仕事がないのをよいことにして少い給与に甘んじていました。