Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かつしかすなご

葛飾砂子

泉 鏡花

Lisez 葛飾砂子 (かつしかすなご) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 677 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

九

蓬莱橋は早や見える、折から月に薄雲がかかったので、野も川も、船頭と船とを淡く残して一面に白み渡った、水の色は殊にやや濁を帯びたが、果もなく洋々として大河のごとく、七兵衛はさながら棲息して呼吸するもののない、月世界の海を渡るに斉しい。

「妙法蓮華経如来寿量品。」と繰返したが、聞くものの魂が舷のあたりにさまようような、ものの怪が絡ったか。烏が二声ばかり啼いて通った。七兵衛は空を仰いで、

「曇って来た、雨返しがありそうだな、自我得仏来所経、」となだらかにまた頓着しない、すべてのものを忘れたという音調で誦するのである。

船は水面を横に波状動を起して、急に烈しく揺れた。

読経をはたと留め、

「やあ、やあ、かしが、」と呟きざま艫を左へ漕ぎ開くと、二条糸を引いて斜に描かれたのは電の裾に似たる綾である。

七兵衛は腰を撓めて、突立って、逸疾く一間ばかり遣違えに川下へ流したのを、振返ってじっと瞶め、

「お客様だぜ、待て、妙法蓮華経如来寿量品第十六。」と忙しく張上げて念じながら、舳を輪なりに辷らして中流で逆に戻して、一息ぐいと入れると、小波を打乱す薄月に影あるものが近いて、やがて舷にすれすれになった。