Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くらのにかい

蔵の二階

豊島 与志雄

Lisez 蔵の二階 (くらのにかい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 351 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

足音を盗んでまで階段を降りて来た。久子がふと眼をさますと、桂一の枕頭にカヨが木像のように坐っていた。二燭光の電球に更に覆いをした薄暗いなかに、半白の髪の頭を傾け、仄白い顔を冷たくして、桂一の寝息をじっと窺っている。久子はまだすっかり覚めきらぬ心地のなかで、ぞっと冷水をあびた思いがして、飛び上るように身を起した。

「静かに。」とカヨは振り向きもせずに手で制した。「このぶんなら、じきになおりますよ。」

カヨは足音を盗んで階段を昇っていった。

そのようなことが、久子には夢かとも疑われた。気持よい夢ではなく、悪夢のような感じだった。土蔵の雰囲気のせいなのであろうか。然し桂一の病気は、予言通り間もなくなおった。

新築について、カヨを説得しなければならない。これが困難だった。耳の錯覚とか、眼の錯覚とか、土蔵の雰囲気とか、戦争についての謬見とか、そんなことでは、彼女にとっては理由になりそうにない。考えあぐんだ末、桂介はよいことを思いついた。白壁造りの家にするのだ。縁側や雨戸は見遁して貰う。だいたい三方とも、羽目板ではなく白壁にする。それなら土蔵と大した変りはない。