Classiques japonais avec furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lisez 薄紅梅 (うすこうばい) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 61 133 caractères · 122 écrans
婆や婆や。」
「ふええ。」
「あれだ、聞いたか――池の端茅町の声でないよ、麻布狸穴の音だ。ああ、返事と一所に、鶯を聞きたいなあ。」
やがて、水の流を前にして、眩い日南の糸桜に、燦々と雪の咲いた、暖簾の藍もぱっと明い、桜湯の前へ立った。
「糸ちゃん、望みが叶うと、よ、もやいの石鹸なんか使わせやしない。お京さんの肌の香が芬とする、女持の小函をわざと持たせてあげるよ。」
悚然として、糸七は不思議に女の肌を感じた。
「昨夜ふられているんだい。」
「おや。」
背中を、どしんと撲わせた。
「こいつ、こいつ。――しかし、さすがに上杉先生のお仕込みだ、もてたと言わない。何だ、見ろ。耳朶に女の髪の毛が巻きついているじゃないか。」
「頭巾を借りて被ったから、矢野のだよ。ああ、何だか、急に、むずむずする。」
「長いなあ、長い、細い、真漆。……口惜いが、俺のはこんな美人じゃない。待てここは二瀬よ。藍染川へ、忍川へ……流すは惜しい、桜の枝へ……」――
桜の枝が、たよたよして、しずれ落ちに雪がさらさらと落ちて、巻きかけた一筋のその黒髪の丈を包んだ。
上野の山の松杉の遠く真白な中から、柳が青く綾に流れて、御堂の棟は日の光紫に、あの氷月の背戸あたり、雪の陽炎う幻の薄絹かけて、紅の花が、二つ、三つ。